一般書籍

人と思想 197

三島由紀夫

著者・編者 熊野 純彦
判型 新書
ページ数 288ページ
定価(税込) 1,320円
ISBNコード 978-4-389-42197-7
発行年月日 2020/2/15

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内容紹介

三島由紀夫(1925~1970年)は大正末年に生まれ,昭和の三分の二ほどの時間を駈けぬけるように生き,多くの作品を遺して壮絶な最期を遂げた。
戦中すでに耽美的な少年作家として登場し,戦後は無軌道なアプレ・ゲール世代を代弁する青年小説家としても健筆をふるい,やがて古典主義とロマン主義がみごとに結合した代表作『金閣寺』を発表して,創作活動のひとつの頂点をむかえる。文学者としての華やかな経歴のかたわら,三島はのちに「楯の会」を結成して,自衛隊への体験入隊を繰りかえした。
三島がただことばを玩んでいたのではなかったことを,ひとびとは1970年11月25日に知ることとなる。本書は,最後の傑作『豊饒の海』にいたる,主要作品の系列を読みなおすことで、その政治的行動の背後にある,作家・三島由紀夫の生と思考の軌跡をあきらかにする。三島死後50年を期して上木される,決定版評伝である。

目次(内容と構成)

はじめに ――三島由紀夫と高橋和巳――

序 章 1970年11月25日
 その前日
 その当日
 その翌日

第I章 「三島由紀夫」の誕生
 「盥のふち」の記憶
 学習院の 「詩を書く少年」
 「花ざかりの森」、あるいはひとつの宿命

第Ⅱ章 再出発と花形作家への道
 戦後文学における三島の位置
 戦中と戦後を繋ぐもの――『盗賊』と「岬にての物語」
 青春のおわりと『仮面の告白』
 若き花形作家――『純白の夜』『愛の渇き』から『禁色』へ

第Ⅲ章 古典主義とロマン主義とのあいだで
 古典古代への憧憬――『潮騒』執筆の背景
 三島文学のひとつの頂点、あるいは『金閣寺』
 認識と行為とのあいだ――小説家の結婚と『鏡子の家』
 ユートピア小説の系譜――『美しい星』と『午後の曳航』

第Ⅳ章 『豊饒の海』、あるいは時間と永遠とのはざま
 ガンジスの流れのほとりにて――『暁の寺』の背景
 ロマンの絶頂とロマンの終焉――『春の雪』とその世界
 行動の文学と、文学者の行動と――最後の傑作『奔馬』によせて

終 章 『天人五衰』、あるいは1970年11月25日ふたたび

あとがき
三島由紀夫年譜
参考文献
さくいん